[47] 転院・再治療
転院・再治療(開咬)
治療前
治療中
治療後
治療の詳細
主訴 | 前歯が噛み合わない |
年齢・性別 | 19歳女性 |
症例問題点 | 上顎左側中切歯骨性癒着、上顎前歯歯根吸収、開咬 |
診断 | 上顎左側中切歯の骨性癒着および上顎前歯部歯根吸収を伴う アングル1級、骨格性Ⅰ級、開咬症例 |
治療に用いた主な装置 | リンガルアーチ、マルチブラケット装置 歯科矯正用インプラントアンカースクリュー |
抜歯/非抜歯 部位 | 非抜歯(親知らずは4本抜歯) |
治療期間・治療回数 | 再治療から1年6か月・再治療から18回 |
総額 | 917,400円(税込) |
内訳 | 相談 2,200円(税込) 検査・診断料 52,800円(税込) 矯正装置料 770,000円(税込) 保定装置料 33,000円(税込) 調整料 3,300円(税込)×18回 |
治療の主な リスク・副作用 | 上顎前歯のさらなる歯根吸収や動揺、骨性癒着している歯が移動しない |
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用として
① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、 一般的には数日間~1、2週間で慣れてきます。 ② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。 また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。 ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。 ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。 ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。 ⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。 ⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。 ⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。 ⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。 ⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。 ⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。 ⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。 ⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。 ⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。 ⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。 また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。 ⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
症例解説
他院で前歯のみのMTMをした患者さんです。原因は不明ですが、上顎左側中切歯が骨と癒着していて動かない状態でした。動かない歯にブラケットを装着したため、他の前歯が持ち上がって下の前歯と当たらなくなったり、歯根吸収してしまいました。当院へは、前歯でモノが噛めない開咬を主訴で来院されました。通常、開咬は、歯をゴムで伸ばしたり、横の歯を抜歯して前歯を内側に傾けて、前歯を当てるようにします。しかし、本患者は前歯が癒着していたり、歯の根っこが短くなっていたため、そうしたやり方をすると、前歯が動かなかったり、歯の寿命を短くしてしまう可能性がありました。よって、奥歯を歯科矯正アンカースクリューで圧下し、前歯を動かさずに下顎の位置を動かして、上下の前歯がかみ合う治療計画をたてました。歯科矯正用アンカースクリューを上顎4本、下顎2本埋入し、奥歯を圧下しました。治療の結果、上の前歯の位置をほぼ動かすことなく、開咬を治療することができました。上顎前歯の歯根吸収の進行は見られず、骨性癒着した歯に関しては経過観察を行っています。